自分の商品を移動販売で売ってみたい、ワゴンやファッショントラックやサービストラックを使って直接お客様に商品を届けたい、そう思っている人は少なくないでしょう。

そこで、気になるのは、自分の商品が移動販売車を使ったビジネスで売れるのかどうかではないでしょうか。

今回の記事では、そのような疑問を解決するために、移動販売ビジネスの現状や、移動販売車を使うことのメリットや注意点について解説します。

 

お店を持つことへの憧れと不安

いつかは自分のお店を持って商品やサービスを提供したい、自分で作ったものをワゴンやファッショントラック、サービストラック等で直接販売してみたいと考える方は少なくないのではないでしょうか。

そんな風にいつかは自分の商品をお店で売ってみたいという夢をもちながらも、なかなか一歩を踏み出せない方は多くいるようです。

では、憧れがあるのに、それを実現できないのはなぜでしょう。

 

多くの場合は、やり方や実現までのステップがわからないために、行動に移すことができないようです。

 

例えば、

  • 商品やサービスのアイディアはあるけれど、販売方法がわからない
  • すでに良い商品やサービスを持っているのにそれを売るためのノウハウがない
  • オンラインでの商品販売をしているが売り上げに繋がらない
  • 自分のお店を持つことが夢だけどやり方がわからない

 

こうした疑問は商品の販売経験がない方、もしくは経験が浅い方が持つのは自然なことです。

 

しかし、販売方法がわからないからといって諦めてしまうのは非常にもったいないことです。

ここで諦めてしまってはせっかくのアイディアや商品が売れるチャンスを逃してしまうことになるのです。

 

では、自分のアイディアを実現したり、商品を広めたりするためにはどうしたらよいでしょうか。

 

出店を実現する「移動販売車」

商品やアイディアはあるのに販売方法がわからないという方に、選択肢の1つとして検討されるのがファッショントラックやサービストラック等を使った移動販売です。

移動販売というと日本ではその多くが、キッチンカーのようにお弁当屋やたこ焼き、クレープなど飲食の販売のイメージが強いですが、実際には日用品やアパレル販売、ネイルサロンのようなサービスまで様々なビジネスで活用され始めています。

 

こうした移動販売車を使ったビジネスには憧れる方も多くいる一方で、その始め方がわからずに行動に繋がらないということも珍しくはありません。

例えば、どのくらい資金がいるのだろうという疑問、販売するための申請方法が不明、ファッショントラックやサービストラックで開業して本当にお客さんに利用してもらえるか、どうやって移動販売車を用意すればよいか、移動販売車を使って結局赤字にならないかなど、疑問や不安が多く、敷居を高く感じてしまっているのが要因かもしれません。

 

そこで、今回の記事ではこうしたお悩みを解決するために、移動販売車ビジネスに関わるお役立ち情報をご紹介します。

 

  • 移動販売ビジネスの現状
  • 移動販売車を使うメリット
  • 移動販売車を使う注意点
  • 移動販売車を手に入れるには
  • 移動販売ビジネスを始めるための手続き
  • 移動販売ビジネス開業のための融資

 

では、さっそく日本での移動販売ビジネスの現状から紹介します。

 

移動販売ビジネスの現状

ファッショントラックが近年注目を集める理由とは?

実店舗を持つことと比べても、同じ移動販売でも調理設備が備わったキッチンカーやフードトラックに比べても、ファッショントラックはコストを安く抑えることができます。

こうしたコスト面での始めやすさに加えて、多くの来場者が期待できるイベントや、すでにSNSで繋がっているお客様の希望する場所まで出向くことができる柔軟性もあるため、近年ではポップアップストアの新業態として非常に注目を集めているビジネスと言えます。

 

有名な企業が新しいブランドや他社とのコラボ商品をPR、体感してもらうための場としても使われることが多くなりました。

また、企業に比べて、商品販売のノウハウが少なく、資金面でも難しさを感じている個人の方にも、自分の商品やサービスをお客様に広める手段として、ファッショントラックやサービストラックの利用が認知されるようになってきています。

 

ネットショップで誰でも気軽に売買ができる時代になりましたが、だからこそ同時に大量の情報が溢れるネット上で自分の商品やサービスが埋もれてしまうこともあります。

また、Web広告の表示争いも激しくなってくる中で、ターゲットにアプローチするためにかなりのコストを費やすことも珍しくなくなっています。

 

こうした中で、移動販売車を使ったビジネスでは、直接お客様とつながり、自身の商品やサービスの良さを伝えられるというのが大きな魅力なのです。

 

可能性は無限大!移動販売車で届けられる商品・サービス

移動販売車というと、多くの方はクレープ屋さんやお弁当の販売などのキッチンカーを思い浮かべるかもしれません。しかし、最近では飲食だけでなく様々な商品やサービスが移動販売車を使って提供されているのです。

 

例えば、

  • アクセサリーやメガネなどの雑貨
  • ネイル
  • マッサージ
  • 靴みがき

 

これらの例を見ても様々な用途で車両販売の可能性は無限大にあると言えるでしょう。

こうした用途の幅広さから、最近では有名企業にも、これから自分の商品を広めたいと考えている個人の方にも認知されるようになってきています。

そこで、次に、ファッショントラックやサービストラックを利用した例を有名ブランドと個人の場合に分けてご紹介します。

 

有名ブランドによる利用例~無印良品の移動販売車~

自社ブランド『無印良品』を展開する良品計画は、都市や郊外での店舗のイメージがあるかもしれませんが、実は移動販売車を使って地方で商品の販売もしています。

例えば新潟県の直江津(なおえつ)を中心に走る「MUJI to GO」は「上越の‟くらしの真ん中”」をコンセプトとした無印良品の移動販売車です。

出典:無印良品 | 直江津 (muji.com)

無印良品の公式サイトでは、「MUJI to GO」についてこのように紹介されています。

 

MUJI to GOは、無印良品直江津を拠点とする移動式店舗です。生活の在り方が変わっても、地域で変わらず“役に立つ”ために、店舗までなかなか足を運びづらい中山間地などにお住まいの方々のもとへ無印良品から出向き、会話し、安心して暮らせるように生活にまつわる品々をお届けします。

無印良品 | 直江津 (muji.com)

 

直江津での販売は一例であり、他にも山形県酒田市で移動販売車を使った商品を販売しています。

対象の商品はお菓子やレトルト食品といった食品から生活雑貨、衣料品まで様々あります。

こうした地域の生活に根差した無印良品の移動販売車は、子どもから高齢者まで広い世代から人気を集め地元の方から愛されています。

移動販売車の利用は、こうした有名ブランドにとっても、これまでの中心都市や郊外に限らず地域での販売を可能にする有効な手段として注目されているのです。

 

個人の利用例~雑貨から服、靴磨きサービスまで~

無印良品のような有名ブランドに限らず、個人で商品やサービスを販売したいという方で移動販売車を利用する例も増えています。

個人の方が移動販売車を利用する一例として、移動式ネイルサロン『serinail』のサービスを紹介します。

出典:serinailについて-移動式ネイルサロン serinail

『serinail』はサービストラックを利用して、お客様が希望する場所でネイルができる移動式ネイルサロンです。

神奈川県の横浜市や川崎市を中心として、お客様の希望の場所に伺いサービスを提供しています。

サロンに行く時間がなかなかないという方にとっては非常に利用しやすいサービスであると言えるでしょう。

限られたスペースでありながらも座り心地の良いチェアやリラックスできるBGMなど、設備は店舗型のネイルサロンと変わらず本格的です。

 

同じように特技のネイルを生かして将来はネイルサロンを開きたいと思っているとします。

いきなり店舗を持つというのは、どこに店舗を持つか、改装や設備投資にかかる膨大な費用をどうまかなうかなどの悩みから、敷居が高く感じる方も多いのではないでしょうか。

 

そんな時に、『serinail』のように移動販売車を利用するというのは有効な手段と言えるのではないでしょうか。

ファッショントラックやサービストラックはこうした出店場所や費用面の悩みを解決してくれる販売手段であり、いつかは自分のお店を持ちたいと思っている方のファーストステップとしても注目されています。

 

ファッショントラックを利用する顧客層は?

ファッショントラックや利用する顧客の層で最も多いのは20代~30代の女性と言われています。ファッションに関心のある層ということに加えて、Instagramを良く使うユーザー層でもあるためファッショントラックとの相性が良いことがメインの顧客層となる理由だと考えられるでしょう。

もちろん、対象となるのは20代~30代女性に限ったことではありません。

前述した無印良品の移動販売車に関しては、地域の人々に浸透していき老若男女問わず愛されています。

より若い10代の層でも、中高年やシニア層でもおしゃれや流行に関心がある人は多くいます。

こうした様々な顧客層を開拓するという意味でもファッショントラックを使った移動販売の可能性は大きいと言えます。

 

移動販売車を使うことのメリットとは?

 

ワゴンやファッショントラック、サービストラック等を利用することは、販売する側にも顧客側にも多くのメリットがあります。

これらのメリットを顧客側と販売者側に分けて紹介します。

顧客側のメリット

  • 実際の商品を見ることができる
  • サイズがある商品を試着して試すことができる
  • 商品の質感や肌触りを触って確認できる
  • 商品について不明な点があればその場でスタッフに確認できる

販売者側のメリット

  • 初期コストが低い
  • リアルでのお客様との接点を持つことができる
  • 丁寧な接客とフォローで商品の良さを伝えることができる
  • その場での購入とファンの獲得につながる
  • 複数回、複数会場での商品販売が可能になる
  • 各地での商品の認知度が広まる

 

以上、顧客側と販売者側の両者にとって移動販売車を使うメリットはとても多くあります。

特に、現在はオンラインで商品を販売しておりなかなか売り上げに繋がらないという方にとっては、お客様との直接接点を持ち商品の魅力を伝え、ファンを獲得するチャンスにもなるでしょう。

また、将来はお店を持ちたいと考えている方にとって、商品が本当にお客様に求められるか、どのくらい売り上げを立てることができるかというのを体感できる、よい実験にもなるはずです。

商品の認知度を高める、そしてお店を持つという夢への一歩として、ファッショントラックやサービストラックは大きな役割を担ってくれる可能性があるのです。

 

移動販売ビジネスをする際の注意点

 

もちろん、メリットだけではなく注意点も理解したうえで移動販売ビジネスを始めるようにしましょう。

知らずにトラブルを招いてしまったり、売り上げが全く立たずに終わってしまったりという事態を回避するためにも、以下の注意点を押さえて対策を練っておくことが移動販売ビジネスを軌道に乗せるために欠かせません。

  • 出店までには各種手続きが必要
  • 許可なく出店ができない
  • 空間に限りがある
  • 天候が悪いとお客さんが少なくなる

移動販売車を使ったビジネスではこれらの点に注意しながら始めると良いでしょう。

例えば、空間に限りがあるという点は、考えようによってはメリットにもなります。

移動販売車でのビジネスをこれから始めるという方で、それほど商品の数が多くなければ、そもそも普通の店舗のような広いスペースは不要で、トラックやワゴンに十分収まるでしょう。

しかも、空間に限りがあるために準備や後片付けにかかる時間も短縮できます。

また、天候による客足は自分の力ではコントロールすることが難しいですが、例えば、大きな商業施設のすぐ近くや常に人通りがある通りなど、天候が悪くてもある程度人が集まるところを選ぶことは可能です。

 

出店の許可と手続きに関しては以降で紹介しますが、こうした注意点について対策を練っておくことでトラブルを回避することができます。

 

移動販売車ビジネスに必要な手続き

 

開業の手続きをする

これから個人事業主として商品やサービスの販売を考えている場合、税務署で開業届を出す必要があります。

開業届は提出が原則であることに加えて、以下で紹介する「青色申告承認申請書」と合わせて提出することで所得税の控除があるため節税にもなります。

他にも就業しているという証明になり、社会的信用が増す結果、融資が受けやすくなるというメリットもあります。

 

なお、個人事業主としてビジネスをする場合に、避けて通れないのが確定申告です。

所得が、38万円以下の場合は確定申告の必要はありませんが、これを超える場合に、自分で計算をして確定申告をする必要が出てきます。

この確定申告には「青色申告」と「白色申告」と呼ばれる2種類の方法があります。

なるべく節税したい場合は「青色申告」を申請することをお勧めします。

青色申告は、白色申告に比べると手続きが複雑な分、メリットもあります。

以下は、白色申告と比べた時の、青色申告に必要な手続きとメリットをまとめたものです。

<青色申告に必要な手続き>

  • 開業して2カ月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要がある
  • 貸借対照表まで作成を求められるため帳簿付けが複雑である点です

<青色申告のメリット>

  • 控除を受けることができる
  • 赤字になった場合に3年間まで繰り越して、黒字と相殺できる
  • 家族への給与を経費として計上できる

 

以上のように、青色申告は白色申告に比べると手間がかかる分、節税になるというのが大きなメリットと言えます。

 

出店場所の許可をもらう

開業届を提出していても、好きな場所で移動販売車での営業ができるというわけではありません。

駐車場や私有地など、出店したい場所が見つかったら、その場所の持ち主に出店の許可を取る必要があります。

中には移動販売の出店募集を行っている場所もあるので、そういった場所が近くにないかネットで調べてみるのも有効な手段でしょう。

土地の使用料については、売り上げの10~20%であったり、1日数千円であったりと、持ち主の方によって様々です。

 

なお、道路は公共の空間であるため、移動販売ビジネスであっても警察の許可が必要です。

一方で、お祭りのような地域のイベントや行事を除き、個人の営利目的では道路使用許可をなかなかもらうことができないのが現状です。

そのため、基本的には私有の駐車場や空き地で使用料を払って出店することを想定すると良いでしょう。

 

移動販売車を手に入れる方法

 

移動販売ビジネスを始める際の注意点や手続きについて理解できたところで、もう一つ気になるのが、どうやってファッショントラックやサービストラックを手に入れるかということではないでしょうか。

移動販売ビジネスができるような大きな車をもともと個人で所有している人は珍しく、企業であっても物流や運送に関連する事業がない限りトラックのような大きな車を持っていないこともあるでしょう。

では、ファッショントラックやサービストラックを手に入れるにはどのような方法があるのでしょうか。

気になる費用と合わせてご紹介します。

 

<ファッショントラックを手に入れる3つの方法>

1.トラックを購入して改造する

ファッショントラックを手に入れる1つめの方法はトラックを購入し、改造することです。

移動販売用のトラックも中古であればおよそ50万円~300万円で購入することができます。

ただし中古車の場合は、購入前に不備がないか、入念に確認しておく必要があります。

また、車検も含めある程度のメンテナンスが必要になることも覚悟しておく必要があるでしょう。

改造に関しては、DIYが得意であれば材料費のみで済みますが、専門の業者に頼むというのも1つの手です。

塗装から車両のラッピング、看板製作、棚や照明をつけるなど、どこまで依頼するかにもよりますが、例えば外装をおしゃれに仕上げたい場合30万円~承ってくれるところもあります。

 

2.すでに改造されている中古車を購入する

ファッショントラックやサービストラックとしてすでに改造してある車両を中古で購入するというのも1つの手段です。相場は250万~で、改造する手間を大幅に省くことができるのが大きなメリットです。

ただし、キッチンカーに比べるとファッショントラックやサービストラックの中古は希少です。

適当な車両が見つかるかどうかはタイミング次第と言えるでしょう。

 

3.レンタルする

あまり知られていないかもしれませんが、ファッショントラックやサービストラックを貸し出してくれるサービスもあります。

レンタルの費用は1日4万円~が相場です。

普通車のレンタルと比較すると高く感じるかもしれません。

しかし、車両の購入や改造に大きな投資をする必要がなく、移動販売ビジネスを長く続けたり、店舗を持って販売したりと本格的に稼働する前のファーストステップとして始めやすいのが最大のメリットです。

中には商品を置く棚やテーブル、収納ボックスなどの備品も貸し出してくれるサービスがあるので、自前で揃えるものを最小限にビジネスを始めることができます。

将来的にトラックの購入を検討している場合であっても、まずはトライアルとしてレンタルサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

レンタルの車両から外観や内装などのアイディアを得られるかもしれません。

また、サービスを提供している専門のスタッフから移動販売に関するノウハウを得られる可能性もあります。

 

開業のための融資を受ける

 

移動販売ビジネスを始めるまでの流れはここまでで押さえられたかと思います。

ファッショントラックやサービストラックでの開業は店舗を持つよりも低コストな点が魅力的ですが、それでも移動販売ビジネスを始めるための費用を自分自身で工面が難しい場合はどうすればよいでしょうか。

 

まずは可能な限り開業のために貯蓄をするというのが一番ですが、資金調達をする場合、融資を受けるというのも1つの手段です。

これから事業を始める、もしくは事業を始めて間もない方に融資してくれる機関で最もよく知られているのは日本政策金融公庫です。

新規事業をサポートするための融資は各種ある中で、日本政策金融公庫は比較的サポートが受けやすいのが特徴です。

融資が受けやすいと言っても、審査を通過するためには、創業計画を始め必要な書類をしっかりと揃えたうえで自分のビジネスについて正しく伝える必要があります。

また、自己資金も開業費用の10分の1は用意しておく必要があり、各制度に必要な要件を確認し満たしておくことが大切です。

 

実際に融資を受けられる金額については、審査の結果次第ですが、融資可能な限度額は4,800万円までのため、移動販売ビジネスを始めるには十分であると言えるでしょう。

 

融資の相談に関しては専用のダイヤルを通じて電話でも可能です。

商工会議所や生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターなどで相談することもできます。

 

もちろんお金を借りるということには、どの機関の融資も変わりないため、将来自分自身で返す必要があることを考慮して検討することをお勧めします。

それでも、資金がないから開業は難しいと諦める前に、個人でもこのように資金を調達する方法があるというのは知っておいて損はないでしょう。

 

ファッショントラックで夢への1歩を踏み出そう!

 

 

今回の記事では、ファッショントラックやサービストラックを使ったビジネスの現状やメリット、注意点、実際に移動販売を始めるための一連の流れを紹介しました。

自分の商品やサービスの良さをより多くの人に知ってもらうために、ファッショントラックやサービストラックで開業するというのは、注目も集めやすく参入もしやすい、新しいビジネス形態であると言えます。

ぜひ、移動販売車を使ったビジネスで、個性を活かしながら自分のオリジナルの商品やサービスを広げてみてはいかがでしょうか。